2023.1.20
第8回 三建研修会
令和4年12月17日(土)14時~ Zoomによるオンライン
第8回目となるオーナー様向けセミナーを開催しました。
「公的評価から見る不動産市況」
現在は地価公示の1.2倍から1.5倍の相場感で市場が動いている
1月1日時点の地価公示価格について、私も現在、地価公示の査定員として、令和5年1月1日の地価公示を今査定している段階ですが、この価格が売買の指標として100%の価格だとすると、同じく売買の指標となる都道府県地価調査は100%となります。また、相続税の路線価格は地価公示の約8割、固定資産税のもととなる固定資産税評価額は地価公示の7割と言われています。ご自分の土地の価格を求めたい時は、この路線価格を0.8で割り戻して、平米数を掛けると大体土地の相場がわかってきます。ただ、現在は地価公示の1.2倍から1.5倍ぐらいの相場感で市場が動いているという実態があります。
東京都内の地価は微増傾向
直近では7月1日時点の地価調査が発表されています。令和3年7月1日時点の価格は郊外は微減、都心部は据え置き、もしくは微増の傾向が多かったですが、令和4年7月1日では、23区内では2~5%地価が上昇しています。周辺の市の一部に関しても、据え置きから微増傾向にあります。
住宅地の価格は都心部は微増傾向、商業地は、去年は23区内でも微減箇所がありましたが、今年は住宅地と同じぐらいの微増傾向にあります。中央区銀座あたりは据え置き傾向ですが、その周りは2~5%ぐらい商業地が上がっています。
土地の相場としては今かなり上がっている状態です。例えば、野方の土地の坪単価を見ても5年前ぐらいで坪150万ぐらいだったのが今年は坪200万ぐらいで取引されています。また、戸建て住宅に関しては、10年前くらいは新築で5000万円台だったのが、今では8500万円というのが出ています。戸建住宅はそのぐらい市況が上がっています。
中古マンション、中古住宅は供給が減り、価格が上昇
レインズ(不動産業者専用のサイト)によると、中古マンションの取引実態は前年同月比に比べて取引件数が下がっています。市場に出物が非常に少ないため、供給が少なくなって、価格が上がっている状態です。中古戸建てに関しても同様です。
建築費も上昇が続く
建築費もかなり上がっています。例えば、集合住宅のRC造については、2011年を100とすると、現在大体50%上がっています。鉄筋重量鉄骨の共同住宅の建築費を坪単価で換算すると、150万円/坪ぐらいします。軽量鉄骨でも120、130万円/坪、木造でも100万円/坪くらいします。「ウッドショック+アイアンショック」とも言われてますので、鉄骨も鉄筋と同じくらい50%増となっています。つまり、今は買うにはかなり高値というところであり、売り時ではあるけど買い時ではないのかなというイメージです。
この年末年始が価格のピークとなる可能性も
不動産投資家調査(日本不動産研究所が発行している投資家調査)によると、Aクラスビル(何千平米という建物)の利回りを見ると、丸の内大手町では今年の4月から10月までの半年間で0.1%下がっています。1999年から比べても利回りが下がっており、つまり価格が上がり続けているということになります。
ワンルームの利回りを見ても、2004年から2022年にかけて3.9%減、つまり利回りが下がると価格が上がるという逆相関の関係にあるので価格は上がり続けています。同タイプの基本利回りは本調査開始以来、初めて4%を下回ったということで、今はバブル期以降でもっとも価格が高い時じゃないかなと思います。
また、投資家の意識調査によると、去年からずっと「現在がピーク」という回答が続いています。つまり投資家はいつ市況が崩壊してもおかしくないと思っているのがこちらで読み取れます。来年以降、利息も上がってきて住宅ローンを組みにくくなるという状態がある中で、年末年始ぐらいが価格のピーク、来年の中盤以降はもしかしたら価格が下落傾向になっていくんじゃないのかなというのが私の見解です。
三建代表・小川